2005年9月14日水曜日

内田樹「勝者の非情・弱者の瀰漫」……強者・弱者の定義をもう少し考えてみよう!

 このエントリー。面白かったけれど、屁理屈であるとも思った。「弱者」の立場に立った論点というのは、すごく共感を呼ぶんだけれど、現在日本の「弱者」は、弱者ゆえに衆を頼んで政治的に強者となり、結果的には経済的にも(他の弱者の犠牲により)強者となっていることが、問題なのである。それが「既得権益」に他ならない。

首都圏から地方に行ってみればよくわかる。首都圏に住む庶民より地方住民は格段にいい暮らしをしている。所得面はいうまでもないが、資産面での格差を考えると、その格差は驚愕するばかり。世界でも一番生産性の低い日本の「弱者」であるという農業家計が、なんでこんなに豊かであるのか。それは、既得権益となっているからだ。誰の負担でそうなっているのいるのか? 世界でも一番生産性が高いという都市の勤労者家計がそのコストを払っているからに他ならない。都市勤労者家計の実質生活水準は、世界でも有数の下位に位置する。おかしいとは思わないか?

内田氏は「弱者が弱者をいじめる」という。とんでもない。弱者を装う強者が日本では多すぎるのである。そのいわゆる「弱者」が、政治的に結束し得ない本当の弱者を搾取している。

日本では、経済的弱者が、衆を頼むことで政治的には強者となり、ひいては他の弱者の負担の上で経済的にも強者となっている。田中角栄(ひいては鈴木宗男)が実現させた歪な世界だ。こういうことを許しておくわけにはいかない!


参考:世帯の一人あたり年間家計費は、サラリーマンより農家の方が15万円以上多い(日経)


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